偏見是正への取組み

当会勉強会でお話いただいた、自死(自殺)への偏見や無理解の是正と遺族支援への取り組みの要旨をご紹介します。
  

○ 自死を観る仏教の智慧 ~仏教の教えと僧侶の偏見~

 (浄土真宗本願寺派(西本願寺)教学伝道研究センター常任研究員 藤丸智雄様 2012年2月)
  
当センターでは、2007年から自死問題への取り組みを始め、「自死遺族のへの支援活動」と「偏見をなくす活動」を取り組みの中心に据えてきました。
これは僧侶(宗教者)が、自死の問題に取り組むことの意義は何かという視点から、議論を重ねるとともに、 ご遺族や支援団体の方々からお話を伺っていく中で、「自死は命を粗末にしている」「自死は罪だ」といった僧侶の発言が、 遺族を傷つけ、苦しめているという、多くのご批判の声を頂戴したからです。
  
【僧侶へのアンケート】
2008年には、浄土真宗本願寺派のお寺(全国約1万寺)への調査を、実施しました。
(僧侶の意識)
     「自死は命を粗末にしている」:    69%
     「自死は仏教の教えに反している」:  74%
(遺族からの質問)
     「故人は往生できたか」:      54%
     「仏教では自死を悪と考えるのか」: 27%
などの、結果が得られました。
無理解・偏見や仏教の教義に関する混乱、「自死」の問題に対してどの様な姿勢で臨めばよいのかわからず、 遺族の声に対応できていない僧侶の姿が浮き彫りになりました。
  
【仏典の調査】
仏教では自死をどの様に見ているでしょうか。本当に「仏教の教えに反している」のでしょうか?
「自死(自殺)」)に関する釈尊(ブッダ)の教えを、原始仏典にさかのぼり調査(仏典の読み直し)を行いました。
    (調査結果はこちら) → 仏教と自死
釈尊は、自死した弟子を非難していません。 仏教では、釈尊の時代より、是非ではなく、 当事者の苦しみをどう受け入れていくかがテーマです。
  
【啓発活動と中間報告】
僧侶へのアンケートや仏典調査の結果を踏まえ、この間、お寺(全国の僧侶3万人)への発信、出版などを通じた啓発活動に取り組んできました。 この結果、学生(修行僧)アンケート(約200名)では、この2年間で次の様な変化が見られます。
     「自死は命を粗末にしている」:    41.8%→29.4%
     「自死は仏教の教えに反している」: 23.2%→13.4%
  
【今後の活動の展望】
自死に対する偏見は、仏教本来の教えに基づくものではありません。 身近なところから、無理解、偏見を変えていくこと、啓発活動が、大切と思います。  浄土真宗では、40年をかけて、葬儀の際の「お清め塩」も全廃しています。  悲しみ苦しんでいる方に寄りそうこと、これが宗教本来の役割です。 全国にあるお寺の数はコンビ二より多く、社会で果たす役割は大きいことを、僧侶に呼びかけています。
    

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○ NPO法人 京都自死・自殺相談センターの取り組み

 (同センター事務局長 金子宗孝 様 2012年2月)

 
西本願寺の僧侶たちの取り組みがきっかけとなり、僧侶、主婦、サラリーマン、学生、遺族、電話相談経験者など、 多様な参加者により2010年にスタートした集まりです。  多様な在り方を尊重しあえる社会を目指していけたらと思って活動しています。
取り組んでいる「3つの活動」を紹介します。
  
1)電話相談 075-365-1616 (受付: 金・土19:00~翌朝5:30)  
 週末深夜受付の電話相談窓口を開設しています。 約100件/月の相談があります。 約9割の方が「死にたい」、「消えてしまいたい」といった気持ちを訴えておられ、こうした声に耳を傾ける中で、死にたいほどの苦悩を受け止める場所が必要とされていることを、実感しています。
  
2)啓発活動
日本の社会に自死に関する偏見、無理解があり、ご遺族を苦しめています。 私どもは、自死についての正確な情報を広め、偏見や無理解を減らすことを目的とし、多くの方が参加できるイベントの開催や、街頭募金活動、講演会の開催を行っています。
Life Fes’ KYOTO 灯2010 ~いのちを想うキャンドルナイト~を開催しました。
  
3)グリーフサポート  
大切な人を自死で亡くした方の「語りあう会」を、隔月で開催。(第2木曜夜 託児受付有)
  
○ 詳しくは、「京都自死・自殺相談センター」をご覧ください。
※ 「ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む」 著者:磯村健太郎(岩波書店) の中で、京都自死・自殺相談センターや浄土真宗本願寺派教学伝道研究センターの取り組みが詳しく紹介されています。

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